日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫とは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行(国際金融等業務)の4つの機関の統合により、2008年10月より新しく設立された政府全額出資の金融機関です。
正式名称「株式会社日本政策金融公庫」。略して「政策公庫」とも呼ばれます。
株式会社とはいっても、「日本政策金融公庫」という名称の通り、政府系のイメージがかなり鮮明で、「株式会社日本政策金融公庫法」という法律に基づく株式会社で、いわゆる「特殊会社」となります。
「株式会社日本政策金融公庫法」により日本政府が日本政策金融公庫の株式のすべてを常時保有すると定められており、日本政策金融公庫を民営化するということではありません。
そもそも、「利益追求」の為の機関ではなく、「健全な経営と政策金融機能の発揮」を目的として創設された組織で、公共性の高い政策金融を担うというのがポイントです。
「国民生活金融公庫」は日本政策金融公庫の「国民生活事業」へ、
「中小企業金融公庫」は日本政策金融公庫の「中小企業事業」となりました。
日本政策金融公庫の融資スタンス
政府系金融機関として、その創設目的からも覗えるように、これから起業しようとする方、民間金融機関である銀行等から融資を受けにくい中小零細企業や創業期の会社対して、積極的に融資を実行しています。
よって、多くの企業が日本政策金融公庫との付き合いを持っており、中小零細企業は借入残高のシェアが一番高い金融機関は日本政策金融公庫であるのケースが、非常に多いです。
ただし、あくまでも日本政策金融公庫のスタンスは、先の創設目的にある通りです。したがって、企業の成長とともに、日本政策金融公庫からの融資シェアは低くなり、地元の銀行や信用金庫がメインバンクの働きをつとめるようになっていきます。
日本政策金融公庫のメリット
一番良く知られているのは、銀行などの民間金融機関よりも、低い金利で、固定金利、比較的長期で融資を受けられるということです。
2020年4月現在の日本政策金融公庫(国民生活事業)の基準金利は、担保を不要とするもので、2.16〜2.45%。担保提供を要する融資で、1.21〜2.10%です。
また、資本金5億円未満の企業であれば、抵当権、根抵当権を設定する際の登録免許税が非課税となるメリットもあります(登録免許税法第4条)。
日本政策金融公庫国民生活事業
「日本政策金融公庫国民生活事業」は、創業後間もない企業や中小企業の中でも小規模の企業、個人事業主の方が利用する公庫です。
年商5億円位までの企業が利用するイメージで、融資額の規模も中企業事業に比べれば少額です。固定の低金利で融資を実行してもらえる点が何よりものメリットです。
どれ位低いかというと、信用保証協会や保証会社による保証の付いていない、プロパー融資の銀行金利に比べて低いということです。
銀行からの融資の場合で日本政策金融公庫と同水準の金利を考えるならば、保証協会の保証を付けることが必要ということになります。
日本政策金融公庫中小企業事業
「日本政策金融公庫中小企業事業」は、国民生活事業と比較して、取引する企業はより大きくなり、年商5億円以上のイメージになってきます。
メリットは、国民生活事業と同じく、固定金利、低金利での融資が受けられることです。特に、優良企業に対しての金利はかなり低く抑えられていて、民間金融機関ではなかなか提案できないような金利で借りることも可能です。
ただし、ある程度の企業規模、良好な財務内容が求められ、審査自体も厳し目になります。逆を言えば、この中小企業事業から融資を受けているということは、それだけで企業の1つの信用に繋がると言えます。