資本金を決める
新会社法施行後、「資本金最低1千万」という最低資本金制度撤廃により、株式会社設立は「1円」からでもできるようになりました。 アイデアはあるが資金がないという方でも、気軽に会社が設立できるようになったと言えます。
とはいえ、「資本金1円」で、創業・経営を続けていけるものだと思いますか?
会社を経営していけば、創業期、成長期、安定期、円熟期、その時々に応じて「融資」を必要とする機会が生じます。
銀行融資を受けようとすれば貸し手である銀行は、当然のように企業の財務内容を審査します。 これは、決算書や試算表、資金繰り表、事業計画書など様々な資料を確認したうえで、融資を申請してきた企業に融資をするかしないか、つまり、融資「できるか、否か」を判断します。決算書や試算表などいわゆる財務諸表を元に審査されることになります。代表的な財務指標として、自己資本比率、流動比率、固定比率、借入月商倍率などがあげられます。
自己資本比率とは、その会社の総資産のうち自己資本がどのくらいの割合になっているかを見るもので、この比率が高いほど会社の経営は安定し、倒産しにくい会社ということになります。
業種にもよりますが、30%以上くらいが安全といわれるボーダーラインかと思います。
ここで、「資本金1円」の会社が意味することは・・・自己資本比率が限りなく「0%」に近い会社であるということです。
そんな企業に、銀行が融資をするか否かと言うと、融資を受けられる可能性がかなり低くなると言わざるをえないでしょう。
また、「債務超過」という言葉があります。
「債務超過」とは、負債の総額が資産の総額を超える状態を言います。
つまり、現金や預金、売掛金、固定資産などの資産の総額よりも買掛金や借入金、未払い金などの負債の総額の方が多くなってしまってる状態です。
債務超過になると、事業は継続してはいるが、ほとんど経営破綻しているというレッテルが貼られてしまい、銀行から融資を受けることは非常に難しい状態にあると言えます。
設立当初はどんな会社であっても、資産超過(資産が負債を上回っている状態)からスタートをします。
そこから、仕入、販売、サービス提供等、営業活動をすることにより、利益を出し、利益剰余金などにより、さらに自己資本を増やしていくというのが会社経営の理想の形です。
この状態で常に成長していくことが望ましいのですが、利益が出ない状態が続く、つまり、売上で経費を賄えない状態が続くと、「赤字」となり資本金として出資したお金で足りない分を支払うという事態になります。
ここで、資本金が1000万円あれば、万が一900万円足りない状態になっても、なんとか、100万円は余るので、まだ債務超過の状態ではありません。
一方、資本金が1円の会社は・・・?
900万円どころか、2円足りないだけでも債務超過です・・・。
「あの会社、体力あるな」と言われるのは、そういうことです。
そう考えていくと、資本金が少ないというのは、経営上のリスクが高くなるということが言えます。
確かに、「1円」で会社設立は可能です。が、あなたの目的は「社長になること」ですか?そうではなかったはずです、起業しようと考えたとき、しっかりとしたビジョンをもって行動を起こしたはずです。
社会的な信用という意味においても、資本金が1円しかない会社に対しては銀行は警戒心を高め、同じような実績の会社で1,000万円の資本金がある株式会社と1円の株式会社では、評価が全く違ってきます。例え、同じ様な実績であってもです。
融資する側にしてみれば、至極当然のことです「本当に返済してもらえるのか?」ということですから。
以上から、起業しようと行動する際には、事業に必要な資金を具体的にし、資金繰りを考えた上で資本金をいくらにするかを決めてください。その後の会社の運営が計画通りに進みやすくなることは間違いありません。
目安としては、初期費用+3〜6カ月分の経費(運転費用)位に設定しましょう。融資や許認可を受ける際は最低金額が設定されている場合もあります。
「1円」でも良いならと、安易に流されないようにしましょう。
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